今回は家庭療養者の衣類について考えてみましょう。
寒い季節になるととくに療養者は動くのが億劫になり、室内に閉じこもりがちになります。そのため 身体の活動が低下しさまざまなな面に廃用症候群(筋・骨の萎縮、関節部の拘縮、起立性低血圧)をまねきかねません。室温の環境を整えることや日常生活での 衣類の選択を考える必要があります。
季節感を味わうためにも、日中の暖かい時間帯に散歩や買い物を目的として出かけると、よい外気浴効果を得ることができます。また行き交う人々との触れ合いもよい刺激になります。療養者がその人らしく生活するために、おしゃれへのお手伝いも大切にしたいものです。
普段着
朝、目覚めたら寝巻きから普段着に着替えます。着替えることで「1日の始まり」の気分になります。清潔な吸湿性のよい綿の下着を着け、上着は動きやすい上下に分かれたものがよいでしょう。外出が困難な時には、よそ行きの装いをして友人を招き、日常の変化を楽しむことも大切です。
外出着
外出着は軽くて暖かいこと、動きやすいことと、さらに大切なポイントは療養者の好みを考えて選びたいものです。好みに合った服はおしゃれ感覚と相まって、その人の満足感につながり、活動する意欲を引き出すことになります。
この時期は気温の変化が激しく、暖かいからといって帽子や手袋も忘れずに、ちょっとしたお好みのマフラーやスカーフが保温に役立ちます。
車椅子の場合は座布団や膝掛けも使いましょう。杖歩行の方にはポシェットや小さなリュックが手荷物にならずに便利です。その中にはハンカチやチリ紙、簡便カイロの他に少量の温めたお茶などを入れておくと、咳込んだ時などは大変役に立ちます。また足元にも気をくばり、靴は足のサイズに合った歩きやすいものを選びます。
寝巻き
1日の活動を終えて、よりよい休息をとるには身体を清潔にし、足を暖め、吸湿性が優れ肌触りのよい布地を使用した寝巻きに着替えて休むことが大切です。夜間、排泄の援助が必要な場合は2部式の寝巻きにするとよいでしょう。日中の衣服ばかりでなく夜間の寝巻きにも注意を払い、心地良い入眠と熟睡感を得ることも安定した療養生活を続けるうえの秘訣です。