夏に向かって季節の変化するときです。生活環境が変わったことによるちょっとしたストレスや食生活の変化などで胃が痛くなることもあるでしょう。またビールがおいしくなる時節、つい飲み過ぎてしまうこともあるかもしれません。せっかく暖かく、気分も晴れ晴れしてきたというのに「なんだか胃のあたりが痛くって……」と言いながらちょっと前かがみになってお腹を押さえている姿は、誰であろうと切なくて見ていられませんよね。今回はそんなときに使える胃の痛みに効くツボをお教えいたします。
胃痛の原因
胃痛は中医学では「胃脘痛」とも言い心窩部、つまりみぞおちの辺りの痛みを主とする症状です。胃本来の働きは消化を行ったうえで胃より腸へ消化物を送ることです。しかし何らかの原因で、これがうまく働かず、気の流れが滞って消化物を送る作用が失われた時に痛みが生じてきます。
その原因は様々なものがあります。とくに急性の胃痛の場合に考えられるのは、冷たいものを食べた後や身体が冷えた時などの後に感じる痛み、これは冷えが原因で「寒」の状態が起きていると考えます。また、食べ過ぎ、飲みすぎの後に感じる痛みは「食積」の状態が起きていると言い表します。どちらにしても冷えや暴飲暴食によって胃の働きが低下し、気の流れが滞ることで痛みが生じるのです。また現代人にとって最も多いと思われる日常生活や仕事でのストレスなどによって起こる精神的な胃痛は「肝」と言う気の流れを支配する臓腑がうまく働かなくなり、胃に影響を与えて起こると考えられます。
胃痛のツボを探す
どのような胃の痛みでも、対処可能なツボがあります。それは前腕の内側で自分の親指幅2本分肘に上がったところにある内関、腹部中央にある中脘、中足のスネの部分で膝のお皿の骨から親指幅3本分下がったところにある足三里というツボです。これらはみな胃に深く関係するツボで、とくに中脘と足三里は胃の症状を治療する際の基本ツボとされています。この3つのツボを指で押して刺激すると良いでしょう。
また、冷えを感じる時には市販のお灸を用いて暖めると更に効果はあがります。お腹を触って他にも冷えている部分があるようでしたら、その部分にもお灸をすえるのも良いでしょう。お灸が無い時にはカイロを用いるなど工夫もしてみて下さい。
またストレスで胃がシクシクする時には足の親指と人差し指の骨の間にある太衝というツボを加えると良いでしょう。ここはちょっと強めに、痛いと感じるくらいに指で押してみて下さい。またお腹全体が張った感じになっている時には、爪楊枝などを4~5五本まとめて軽くつつく散鍼もお薦めいたします。
胃の痛みが強くてどうにもならないときは膝のお皿の骨から親指幅2本分太ももの外側に上がったところにある梁丘というツボが良いでしょう。胃に関わる急性の痛みに効くツボとされています。
胃痛の際の養生
胃の痛みを感じたらまずは十分に休息を取り、消化しやすい食べ物を摂取するように心がけ、刺激の強い食べ物などは出来るだけ避けるようにします。もちろん 食事は規則的に。食べると胃が痛いと言うときにはプチ絶食もお勧めです。またストレスでの痛みでは、気分転換が大切になってきます。休日は趣味を楽しんだ り、お風呂でゆっくりとリラックスしたりと、自分なりのストレス解消法を見つけ実践してください。
しかし、思い当たる原因もないのに痛みが長く続いたり、あまりにも激しい痛みであったりした時には、自己判断せずに専門医への受診をお薦めいたします。
鍼灸治療は、痛みを止める高い効果を持っています。治療を継続することにより、季節の節目、節目をさわやかに過ごせるように体調を整えるという特徴もあり、効果も持続しますのでどうぞご相談ください。