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岩木川と十三湖(青森県)

葦茂る

岩木川は世界遺産に登録された白神山系を源として、津軽平野をへめぐりながら、いったん十三湖で流れを止め、日本海へと注ぐ。
その間、津軽の林檎畑や田んぼを潤しながら津軽の豊穣を約束する恵みの川だ。十三湖に岩木川が注ぐ河口付近には、広大な葦原が緑の絨毯のように広がっていて、この川が生き生きとしているのが分かる。

橋の上から茂った葦に見とれていると、その辺りから「ぎょぎょし」と夏鳥の葦切(よしきり)の鳴き声が聞こえてきた。

変なことを思った。「善し悪し」という言葉だ。「葦」は「あし」とも「よし」とも読む。昔の人が葦切りをあしきりと呼ばないのには訳がある。あしきりだと「悪し」に通じる同音を嫌ったからで、ものごとはなんでも善い方に転ぶのがよいと、験(げん)をかついで言い換えたからである。
この広大な葦原が持つ水質浄化のせいか十三湖にはとてもよい大和シジミが採れる。