ちはやぶる
宇治川は琵琶湖を水源として京都を流れ、淀川に注ぐ川である。
宇治の枕詩は「ちはやぶる」だが「荒ぶる」イメージにはほど遠い穏やかな日和だった。
桜はまだ少し早く、土手に植えられた桜の枝は、固い蕾に守られた桜の花が眠っていた。宇治川に架かる宇治橋は幾度なく戦乱や洪水で架け替えられているが、日本最古の大橋として記憶されている。
記憶といえば、橋のたもとに茶店があり、古くは豊臣秀吉や一休禅師、宮本武蔵らが往来し一服したと伝えられている。
橋の中ほどに、欄干が川上の方に少し張り出している。三の間といわれる所で、そこから宇治川の水を汲みあげ茶の湯に用いられることから「三の間の水」として有名だ。そういえば宇治は茶所でもある。800年ほど前に明恵という僧侶がこの地に茶園をつくり、、抹茶の製法を編み出したとさえれ人口していった。
江戸時代になっては将軍家に献上する「御茶壺道中」が毎年優雅に繰り広げられていたという。