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食品表示の読み方を学ぼう

毎日食べるものが、心身の健康と密接な関係があることがわかってくるにつれ、食品の安全性や品質への関心が高まっている。食品の外観だけでそれを把握することは難しく、消費者にとっては表示が重要な情報源ということになる。しかし、食品表示はまだまだ不十分であったり、理解しにくいものが少なくない。健全な食生活を守る支えとなる表示を読み取るための基礎知識を紹介する。

食品衛生法に基づく表示事項

1.名称
商品名ではなく、内容がどんな食品であるかがすぐにわかるような名称を表示する。

2.製造所又は加工所の所在地
輸入品では、輸入業者の営業所所在地を表示する。

3.製造者又は加工者の氏名
輸入品では、輸入業者氏名を表示する。

4.消費期限又は品質保持期限
品質が急速に劣化しやすい食品では、腐敗、変質など劣化に伴う衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期限を、「消費期限」として年月日で表示す る。劣化速度が比較的おだやかな食品では、品質が十分に保たれていると認められる期限を、「品質保持期限(又は賞味期限)」として年月日で表示する。製造 日から品質保持期限までが三ヶ月を超える場合は、年月までの表示にすることもできる。

5.保存方法
四の表示(期限表示)は、「定められた方法」により「未開封の状態」で保存することを前提としている。そのため、期限表示と併せて「保存方法」が表示される。表示された保存方法に従わなかった場合、その食品は表示された期限内であっても劣化・変質しているおそれがある。
なお、常温で保存できる食品は、常温で保存できる旨の表示を省略することができる。

6.使用した添加物
原則としてすべて表示することになっている。

食品についているマークいろいろ

食品についているマークには、法律や省令によるもの、業界の自主規制によるもの、第三者機関の検査や認定によるものなど、いろいろな種類があり、表示を補完するものとして大事なシンボルとなっている。どれも、商品を選ぶために役立つ情報のひとつとなる。主な表示制度には次のようなものがある。

・JAS規格食品
JAS規格(日本農林規格の品質基準及び表示基準)による格付けに合格した製品にのみ付けられる。表示事項として、品名、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、製造業者の氏名と住所などを一括して表示することが義務付けられている。JAS規格は任意の制度なので、JASマークの付されていない製品の流通もみられる。

・特定JAS規格食品
特別な生産の方法または特色のある使用原材料に着眼した、いわゆる「作り方JAS」といわれるもので、一九九三年にJAS法が改正され、この制度がスタートした。九五年に「熟成ハム、ソーセージ、ベーコン」の規格が制定され、特定JAS規格食品の第一号となっている。特定JASの製品の品質は特級以上で、生産方法としては塩析液に漬け込む期間がハム類で七日以上、べーコン類では五日以上、ソーセージ類では三日以上であることが定められている。

・特別用途食品
厚生大臣の許可により、乳児や妊産婦、高齢者や病弱者用など特別の用途に適することを明示して販売できる食品

・特定保健用食品
厚生大臣の許可により、「おなかの調子を良好に保つ」など特定の保健の目的が期待できることを明示できる食品

・ふるさと認証食品
林水産省の通達により定められたもの。最近、特色ある地域特産品の生産が活発化している折から、地域原材料のよさを生かすとともに地域の技術を用いて製造 された地域推奨食品を対象に、基準に適合したものに付けられる認証マーク。卵、梅干、漬物など各地の名産品に付けられている。

区分が明確化された有機農産物の表示

有機農産物についても92年に制定された「ガイドライン」を96年、「有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」に変更し、次のように有機農産物と特別栽培農産物の区分の明確化をはかっている。

・有機農産物
原則として化学合成農薬、化学肥料及び化学合成土壌改良資材を使わないで、3年以上を経過し、堆肥等による土づくりを行ったほ場において収穫された農産物。

・転換期間中有機農産物
有機農産物と同じ栽培方法だが、原則として化学合成農薬、化学肥料及び化学合成土壌改良資材を使用しない期間が6カ月以上3年末満であるほ場において収穫された農産物。
・無農薬栽培(無化学肥料栽培)農産物
農薬または化学肥料を使用しない栽培方法により生産された農産物。

・減農薬栽培(減化学肥料栽培)農産物
化学合成農薬又は化学肥料の使用を、同じ地域の同じ時期に慣行的に使われる回数又は量の5割以下に減らして生産された農産物。

食品添加物の表示はいまだにあいまい

食品添加物は、食品衛生法で「食品の製造、加工、保存の目的で食品に添加、混和、浸潤させて使用するもの」と定められている。95年の法改正で、合成と天 然に分類されていた添加物はすべて「添加物」として規制された。現在使われているのは合成添加物が349品目、天然添加物1051品目となっている。そし て我々は1日に80種類もの食品添加物を口にするといわれる。
食品添加物の表示は従来からの用途名に加え92年7月から物質名も表示されることに なった。しかし用途によっては省略される「一括名表示」となるため、情報がすべて消費者に公開されないとの批判もある。物質名が用途名と一緒に並記される 添加物は着色料、保存料、甘味料、増粘剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防カビ剤の8種類に限られている。微量の物質を、いくつか組合せての使用となる酸 味料、香料、乳化剤、膨張剤、調味料、PH調整剤などは、省略され一括名表示となる。例えば膨張剤で特定の物質を使っていても「膨張剤」の表示だけで、添 加物質は読み取れないのが現状だ。

表示が求められているバイオ食品

「バイオ食品」を知っているだろうか。「バイオテクノロジー」を使って作られた食品のことだ。バイオテクノロジーという技術にはいろいろな種類があるが、一般には、バイオ食品というと「遺伝子組換え技術」で作り出した作物とその製品を指す。
一九九六年、厚生省は、それまでに申請のあった七種のバイオ食品には「安全性に問題がない」として、輸入を解禁した。これらはいずれも外国の企業で開発さ れた食品だが、除草剤をかけても枯れない大豆、害虫に強い性質をもつトウモロコシ、菜種、害虫に強いジャガイモ等が含まれている。作物として生産する時、 大幅なコストダウンが図れることから開発されたものだ。除草剤に対して強ければ、より効果的に除草剤を散布することができるし、害虫に強ければ、農薬散布 を減らすことができるというわけである。
現在のところ、バイオ食品にはその旨が表示されいない。「安全性が確認されている」という考え方によるものだ。さらに大豆や菜種などは直接食用とするので はなく、食用油として利用するので、実際問題として表示が難しいという事情もある。油脂や添加物レベルまで詰めていけば大豆やトウモロコシを使う食品は全 体の六割とも言われる。「大部分の食品が表示対象になってしまうのだから、消費者の選択肢にはならない」という声が支配的だ。
しかし、バイオ食品に表示を求める声は、日本国内やヨーロッパ諸国において日増しに高まっている。見かけからはまったく区別がつかず、いつ口にするかわか らないために、消費者団体などは「食べ物を選ぶ基本的権利を認めて」と要求する。大豆に多く含まれるタンパク質は、食物アレルギーの原因となりやすく、 「遺伝子組み換え大豆はアレルギーを引き起こす恐れがある」と指摘する専門家もいる。
生協では、豆腐や生揚げなどの商品に「原材料に遺伝子組み換え大豆は使われていません」との表示に踏み切るところも現れ始めた。

食品表示・ここが知りたい

Q:「有機丸大豆しょう油」と表示したしょう油は、普通のしょう油と基準が違うのですか?
A:一次産品の農産物には、表示ガイドラインが決められていますが、有機農産物等を原材料とする食品についての公的な基準はありません。

Q:栄養表示基準で「ノンカロリー」と表示できるカロリー量を教えてください。
A:「ノンカロリー」と表示できる基準は、一○○g当たり○・五Kcal未満となっています。

Q:魚の干物に「天日干し」という表示がありましたが基準はあるのですか。
A:「天日干し」に関しての基準はなく、個々の製造業者の判断基準にまかされているのが現状です。

Q:「国産大豆使用」と表示がされている豆腐は、本当に国産のものを使用しているのですか?
A:業界の基準では五〇%以上国産大豆を使用していれば、「国産大豆使用」と表示することにしています。

Q:「特殊卵」はどこが特殊なのですか?
A:にわとりに食べさせる餌により、卵の成分を強化したもの。脳細胞を活性化するといわれるDHAを強化したもの、老化予防によいというビタミンEが多いものなどがあります。栄養成分を強調する食品は栄養改善法の表示基準の対象となるため、九八年四月から強化した栄養成分の量や熱量などの表示が義務づけられます。

Q:「機能強化牛乳」の中身を教えてください。
A:消費者の健康指向やライフスタイルに合わせて、牛乳にビタミンなどを配合したり、脂肪分を減らした牛乳(乳飲料)です。なかでも、カルシウム強化タイプは、骨粗しょう症予防に有効とされていることから、中高年女性に受けているようです。

Q:「栄養鶏」と表示した鶏肉は「地鶏」なのですか?
A:市場に出回っている鶏肉には、地鶏、銘柄鶏、ブロイラーの三種類があります。「○○鶏」と表示されているものの中には、名古屋コーチン、シャモなどの在来種である地鶏と、業者が独自に命名した銘柄鶏が混在していて判断に迷うことがあります。正確には明治時代までに国内で定着した在来種を父か母にもつひなを一定期間以上平飼い(放し飼い)にしたものが地鶏です。