滔々と流れる坂東太郎
関東平野を流れる利根川は、新潟と群馬の県境にそびえる幽ノ沢山や小穂口山から流れ出て、流域面積は1万5845平方キロにも及び、群馬、埼玉、栃木、茨城、千葉、東京の5県1都を長蛇のようにうねりながら銚子で太平洋に注ぎ込む文字通り、日本一の川である。
昔より利根川各流域で川と共に暮らしてきた人々は、四季折々にとれる上流のアユや岩魚、中流でのナマズや鯉、下流のシジミなどの恵をもたらしてくれる川と、氾濫を繰り返してきた川を、恐れと親しみを込めて坂東太郎と呼んだ。
この雄々しい川も、治水の名の下にどこまでも続くコンクリートの護岸工事やダムのせいか、蚊細い川になったように見える。しかし坂東太郎は今でも東京都民の生活を支える大切な水を供給し続けてくれている。