水やり
南京から錦江に向かう途中、とある集落を通りかかると、小さな溜め池があった。村の人々が出てきて桶に水を汲み取り、天秤棒を上手にかついでは畑に水をかけていた。
なんとのどかな農村風景だろう、と眺めていると、昔日本のあちらこちらで見られたのと寸分も違わない風景に思えてきて、なんとも懐かしい気持ちになった。
風に乗って土の匂いと野菜や菜の花の香りが漂っている。遠くでなにやら声を掛け合っている人の声までもが心地よい。よく見ると菜の花はしぼみ、その下にさやが大きくふくらみ始めている。
江南の春は終わり、夏の到来を告げていた。