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電磁波と健康を考える – 2

『いま電磁波が危ない』

中原英臣 (なかはら・ひでおみ)

96年頃、電磁波がクローズアップされ大きな問題になり、「電磁波をカットする」とうたったグッズがたくさん登場しましたが、とても有効とは思えないようなインチキ商品ばかりでした。もともと家庭で問題になる低周波磁場はほとんどカットできるものではありません。
しかし、電磁波は現代生活に必要なあらゆる電気機器から発生しているわけですから、完全に被ばくを避けることはとてもできません。いたずらに恐れるのではなく合理的な考え方で対応していくことが大切です。
要は被ばくする程度の問題であり、大切なのは発生源の強さ、それからの距離、被ばく時間の3つの要素です。その点で私は携帯電話などは、それほど発生源としても強くないし、一般にはあまり長時間利用するものではないので、危険性は小さいと思います。
一方、パソコンのモニターやテレビなどは長時間向かっているものであり、夢中になってしまうとついつい近づいていってしまうものですから注意することが必要です。時間を限定して使用するとか、距離を保つようにしてください。電磁波の強さは距離の2乗に反比例するので、意識的に距離をおいてつきあえばなんとか安全なのではないかと思います。
その点、電気毛布やホットカーペットなどのように直接身体と接触して利用するものは、やはり危険性が高くなると思います。普通は一晩続けて使い、冬の間はずっと利用しますから、時間的にもかなり長くなってしまうでしょう。低減化対策をした製品を利用してください。
医療現場にはたくさん電磁波を発する機器があり、むしろ電磁波を治療に使う機器もあります。薬は効果のあるものは必ず副作用の危険性があるわけですから、こうした機器も有効なら有害な面も出てくるかもしれません。ですから、その患者に本当に向いているのか、害より利益が大きいのかを判断することが必要です。
日本は今年、ようやく電磁波と小児白血病に関する疫学研究の結果を発表しました。しかし、これは10年前にスウェーデンのカロリンスカ研究所が明らかにしていることで、いまさら何も日本でやる必要がなかった調査ともいえます。ともかく日本の対策は何事につけ、後手後手ということになりがちで、そのことがいたずらに人々の不安をかき立てるのではないでしょうか。