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ナースの知恵袋 – 1

家庭療養患者に対しての食事援助法

菅原品子(東京衛生学園看護学科)

一般食と特別食

看護学科学生の食事介護実習風景患者が食べる食事には一般食と特別食があります。
(A)一般食は、健康人と変わらない常食、消化機能の低下がみられる患者や歯の使えない老人にはお粥などの軟食、食物がのどを通らない場合のおもゆやアイスクリームなどの流動食と、その形状から3つに分けられます。
(B)特別食は医師の食事箋に基づいた食事で、今までと同じものを食べてはいけない食事制限を必要とする場合や、栄養素の不足を補う場合の疾病治療食に分けられます。
(C)上肢の麻痺や嚥下障害により自分で食事を摂取できない場合の食事介助は、どちらの場合においても、家庭内で家族が食事援助するには事前に患者がどの状態にあてはまるかを専門家とよく相談してから行うのがよいでしょう。

家庭での食事援助の注意点

食事環境

家族のだれかが家庭療養にはいると、患者だけ家族と食事内容が違うため、患者は自分の部屋や病床で食事をとることになりやすく、孤食になりがちになります。食欲の増進をはかるためにも、できるだけ家族団らんの中で食事がとれるよう食事環境を整えましょう。

食事体位

自分で食事がとれる場合でも、病床の寝たままでの食事は口から食道、胃と食べたものを飲み下すことが難しく、誤嚥の原因ともなります。座れる場合は車椅子または椅子に座るようにしましょう。
病床での食事は背に枕などを入れて、もたれられるようにして座位にすると食事がしやすくなります。またまったく身体を起きあがらせることができない場合は、右側臥位で行い、ストローなどを使用し食事しやすい工夫を患者とともに考えましょう。

介助が必要な患者の場合

自分で食事のとれない場合は家族の介助が必要になります。
1/食事の前に排泄を確認します。
2/介助者は患者の側に座り、ゆったりとした気分で接するようにします。
3/患者に食事内容を説明し、最初に口の中を湿らして、食べ物の通りをよくするために飲み物から与えます。
4/患者の食べるスピードに合わせ、食べやすい分量だけを主食と副食を交互に口に運びます。
5/食事がすんだ後、お茶を飲ませ口の中をすすいだり、歯磨きを行います。
6/最後に食べた食物の種類と量を確認し、記録しておくと専門家と相談するときに役に立ちます。
次回は排泄を取りあげます。