メニュー 閉じる

ナースの知恵袋 – 4

「こころ」と「からだ」を清潔に保つ方法

植木恵久子(東京衛生学園看護学科教員)

朝夕の洗面、入浴、整髪や爪の手入れなどは健康な人にとっては日常的な生活です。その一つ一つをいつもは意識していませんが、何かの都合で洗面しない朝が あったり、入浴しない日があったりするときの不快感は、誰もが思いあたることでしょう。家で療養する人にとってもこの不快感は同じことです。思うように行 動できないために不潔に甘んじている不快感は、「病人意識」をいちだんと強め、心を閉鎖的にします。そこで、療養中でも清潔で快適に過ごす方法を紹介した いと思います。

 

洗面

朝起きたら、顔を洗うことのできない人の場合は、まず熱めのおしぼりタオルで顔を拭くと、目が覚め気分が爽快になります。これは、まず水で濡らしてしぼったタオルをビニール袋に入れ電子レンジでチンすることで、簡単におしぼりができあがります。顔を拭いてさっぱりしたあとは、口の中です。義歯は洗浄液に入れてあっても、歯磨き剤をつけてみがくと汚れがよく落ちます。食事の前後に義歯の洗浄をし、口の中がきれいでいられるといいですね。歯磨きができない人の場合は、うがいをお勧めします。市販の口腔洗浄剤を使用するときは、ノンアルコールのものがいいでしょう。また、自宅でレモン水を作ってうがいをしてもスッキリできます。

入浴

入浴やシャワーができると清潔を保ちやすくなります。入浴する場合は、ややぬるめの湯(39~41度)に短時間入ると、体力が消耗せずに血液循環をよくし、リラックス効果があります。また、浮力が生じるため、関節にかかる負担が軽くなり、麻痺した手足の機能回復の練習にも最適です。入浴で気をつけたいことは、肩まで湯につかると身体に静水圧という圧力がかかることです。呼吸器疾患や心臓疾患のあるの人の場合は、静水圧により、胸やお腹の筋肉が圧迫されるため呼吸運動が制限され、肺や心臓に負担がかかります。こういう場合は、半身浴といって腰まで湯につかる方法がよいでしょう。体力が消耗している人へは短時間でシャワー浴をする方が、疲れが少なくてすみます。

清拭・手浴・足浴

浴室までいけない人は、寝たままで身体を拭く方法がとられます。このとき、洗面のところで紹介したレンジタオルを使うと、手軽にできます。また、洗面器に湯を張り、手や足を洗面器の中に入れて洗うと、汚れを落とす効果大です。

清潔心を保つ

次は心のケアが大事です。ついつい「おしゃれ」には気を使わなくなりがちですが、鏡を毎日見る習慣をつけ、櫛で髪を整えたり、着替えをして気分を変えたりすると精神に張りができます。外へ買物に出られない人は、デパートの通信販売のカタログなどを利用すると、買物を楽しむこともできます。新聞の折り込み広告を見ているだけでも結構楽しく過ごせます。きれいなものを見たり、きれいなものを身につけることが、清潔心を失わないポイントといえるでしょう。