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サンシャインサプリメント

セントジョンズワート(西洋オトギリソウ)

精神を安定させ抑うつを解消する
サンシャインサプリメント。

林真一郎(薬剤師 グリーンフラスコ(株)代表)

ハーブには揮発性と非揮発性の有効成分があります。揮発性の成分としては精油(エッセンシャルオイル)があり、ハーブティーから立ちのぼる快い香りがそれにあたります。この香りは鼻の奥で電気信号に変換され、大脳辺縁系へと伝えられて自律神経系、内分泌系、免疫系といった恒常性を維持するシステムに作用をおよぼし、それらのバランスを調整することが知られています。
一方、非揮発性の成分は内服することによって消化器から体内に吸収され、血液循環に乗って体の各部で作用を発揮します。ところが最近の研究ではこの非揮発性の成分にも脳内に影響を与え、精神を安定させたり、抑うつを解消するなどの作用を発揮することがわかってきました。
こうした向精神性植物、つまり心に変化を起こさせるハーブとして欧米で大きな話題となっているのが、今回ご紹介するセントジョンズワートです。このハーブにはメラトニンと呼ばれる非揮発性の成分が含まれていて、内服すると体内のメラトニンレベルを上げることが確認されています。
このメラトニンは脳内で分泌されるホルモンのような物質で、生体リズムを調整し、抑うつを解消することで知られています。生体リズムは通常、太陽の光によって体内時計の本体である視交叉上核に信号が送られ、さらにその奥に位置する松果体からこのメラトニンが分泌されることによってコントロールされています。


セントジョンズワートは欧米で古くから”サンシャインサプリメント“(太陽の光の補給食品)と呼ばれ、暗闇に光を与えるハーブとして抑うつや不眠に用いられてきました。このことを考えると、ネーミングの正しさがうかがわれます。またこのハーブはキリストに洗礼を施した聖ヨハネ(St・John)が斬首され た聖ヨハネの日(セントジョンズデー・6月24日)つまり夏至の日近くの正午、太陽の力が最大になったときに収穫すると最も治癒力が強いと言われてきまし た。


現在、ドイツを中心とした欧米ではこうしたセントジョンズワートの効能を伝える伝説や物語を科学的に検証する研究が盛んに行われています。それによればセ ントジョンズワートの抑うつ効果は、うつ状態を引き起こすMAO(モノアミンオキシダーゼ)の作用を阻害することで発現すると考えられています。また抗う つ剤の代表であるプロザック(Prozac)のような頭痛、吐き気、虚脱感などの副作用がなく、むしろ睡眠の質を高め、安心して服用することができる点も 評価されています。
ハーブの研究は古くからの知恵の再評価であり、その評価に値するものだけが次世代に伝えられていくのです。

1.ハーブティー

●不眠や抑うつ症状の改善に
ティースプーン山盛り1杯(約2g)を200mlの熱湯で三分間抽出し、少し冷ましてから寝る前に服用します。牛乳に200mlにティースプーン山盛り2杯(約4g)を加えて弱火でじっくり加熱し、ミルクティーとしても服用します。牛乳中のカルシウムやアミノ酸のトリプトファンは気持ちを鎮めるため、相乗効果が期待できます。

●神経痛の痛みの緩和や生理痛の緩和に
セントジョンズワートは生体リズムを調節したり不眠、抑うつの改善の他に、痛みを鎮め、痛み物質を排泄する働きも知られています。したがって抑うつを伴う痛みには最適のハーブと言えます。
ティースプーン山盛り1杯(約2g)を200mlの熱湯で3分間抽出し、1日3回毎食後に服用します。
急須でいれて煎茶がわりに飲んでも結構です。
砂糖が大量に入った清涼飲料水は体を冷やす上に、痛みを長びかせるのでハーブティーに代えることをおすすめします。

2.ハーブジュース

●生体リズムの乱れや活力の低下に
セントジョンズワートの全草をジューサーにかけて、できあがったハーブジュースを1日3回毎食後に10~20ml服用します。