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統合リハへの提案 – 4

各分野で活躍する東京衛生学園リハビリテーション学科OBに統合リハヘの可能性を聞く

診療報酬改定で病院でのリハビリは脳血管、運動器、呼吸器、心大血管の四疾病領域だけが対象となり、リハビリ治療が受けられる日数の上限に枠がはめられた。リハビリを行う理学療法士も四大疾患それぞれへの専門性を求められるとともに、急性期、回復期、予防期という疾病の流れにトータルに関わることが困難になってきた。また介護施設でのリハビリや訪問リハビリなどリハビリの環境も急速に変化している。このような状況のなか、各リハビリ施設で活躍するOBを訪ねた。

伊藤滋唯さん (社会福祉法人さくら会 介護老人保健施設ケアセンター南大井)

体力、知的能力、精神活性の調和を目指した介護予防


伊藤滋唯さん

2006年4月に介護保険制度が改定になり、「介護予防」の充実が掲げられました。全国各地の行政では、高齢者にできるかぎり介護を必要とする状態になら ないための施策として、様々な介護予防事業を実施しようとしています。ケアセンター南大井は東京都品川区に位置しています。私はこのケアセンター南大井に 理学療法士として在籍しており、同施設は品川区高齢福祉課から介護予防事業を受託しています。
品川区は介護予防事業として、デイサービスセンター活用型の「身近でトレーニング」「マシンでトレーニング」「予防ミニデイ」や、区民協働型の「いきいき 筋肉向上トレーニング」「いきいき脳の健康教室」「シニアのための男の手料理教室」「ふれあい健康塾」、このほかにもいくつかの事業を実施・展開していま す。この事業の対象となる人は、このまま何もしないでいると生活機能の低下が予測され要支援や要介護の状態になるおそれのある方であり、いま現在はまだ要 介護認定を受けていない方たちです。
私が担当している予防ミニデイは「ミニ(短時間)のデイケア」という意味です。区内6ヶ所の施設で実施されています。曜日も時間帯もばらばらですが、約四時間にわたってお年寄りたちに、グループ体操などの身体運動や、囲碁・将棋・麻雀などの知的活動、その他にもカラオケやゲーム、談話などを通じた相互交流を図ってもらおうというメニューに取り組んでいます。毎週の外出を組み入れた規則正しい生活づくりをはじめ、独居高齢者の話し相手になるなど心身の安心感を持てるようにして、お年寄りたちにまた来たいと思ってもらえるように心がけています。


いつでもどこでもをモットーに、椅子など家庭にある道具を使って欠かさずに運動を行う

お年寄りたちの生活を維持するためには、身体機能、認知機能、精神機能の3つの調和が重要と考えられます。そして、予防ミニデイの利用者たちは、これら3 つのうちのどれか、あるいはすべてが ちょっと弱り目 という方たちです。民間のフィットネスクラブや体操教室などは元気な人が多くてついていけないし、介護用施設は要介護認定を受けなければ利用できません。 そこで ちょっと弱り目な方たちが利用できるように、品川区では様々な介護予防事業を準備し、なるべく本人が興味の持てそうなものを選ぶことができるよう努力して います。
ただ多くの事業は週に1回程度の開催頻度であり、予防ミニデイもその例に漏れません。この週に1回という頻度の中でできるだけ元気になっ てもらうために、日常生活の中で身近にある椅子など家庭内にある道具を使っての筋力トレーニングや体操などを積極的に実施しています。お年寄りの予防リハ ビリに対するモチベーションの維持のためには週1回の参加はもとより、毎日楽しく続けられる習慣性もとても重要と考えているからです。