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とっておきのツボ – 11

産前産後のツボ療法

後藤学園付属はりきゅう診療室

妊娠中や出産後の身体の様々なトラブルにも、ツボ療法が効果的です。妊娠中や授乳期にはとくに薬は使いたくないという人に最適な方法でもあります。身体にも優しい薬膳の方法も合わせてご紹介しましょう。

妊娠と肝の関係

妊娠中によくある症状に、吐き気、イライラ、目の疲れ、顔のシミ、こむら返りなどがあります。これらはすべて「肝」と関係があります。肝には、感情のコントロール、気の流れのコントロールを行う働きがあります。また、体内の血の量を調節する働きもあり、血の量が少ないとこうした働きがうまくできなくなります。妊娠とは、新しい臓器が1つできるようなものです。どうしても血の量が不足してしまいます。肝の働きが落ちてしまうために上記のような症状が起きやすくなるのです。
肝の働きを高めるツボである太衝を軽く刺激しましょう。また、血を増やし肝の働きを高める棗、枸杞の実、松の実、干しブドウ、黒キクラゲ、黒ゴマ、金針菜などを食べましょう。

悪阻(つわり)による吐き気

妊娠によって、気の流れが滞り、逆行することによって起こります。腕の内側の中央で、手首から指2本分上にある内関を指で圧すことによって、胃部の気の流れを調節して吐き気を和らげることができます。また、裏内庭(足の第2指の腹のいちばん盛り上がっている場所に墨をつけ、できるだけ足底側に折り曲げて、こすり付けます。足底に墨の付いた場所が裏内庭です)にお灸をすることも、悪阻によく使われている方法です。
また、生姜を皮ごとすって、お湯を注いで飲む方法も吐き気止めには有効です。

おなかの張り

おなかの張りや痛みは、妊娠中によく起こります。これには散鍼という方法が効果的です。張って硬くなった場所を、鍼で軽くつつく方法です。家庭ではこれを応用して、つまようじを4~5本輪ゴムでとめたものを用意し、仰向けに寝た状態で、これでおなかの張った部分を軽く刺激します。

逆子

病院や助産院でもツボによる逆子治療を行うところが増えているようです。よく使われるツボは、足の小指の先にある至陰です。ここにお灸をすえます。お灸をすえた直後や、その夜に、胎児がよく動くようです。1度の治療で逆子が治る場合もあります。動きすぎてまた元に戻るということも考えられるので、専門家と相談しながら治療を行うのがいいでしょう。

妊娠中の注意

肩の中央にある肩井、手の甲にある合谷、内くるぶしの指4本分上にある三陰交は妊娠中には使ってはならないツボとされています。刺激の仕方によって、妊娠にもよく働くようにできるのですが、一般の人は意識的に刺激しないほうが無難です。

乳腺炎

産後のトラブルで多いのが授乳期の乳腺炎です。乳腺炎の東洋医学的な解釈としては乳房部の気の滞りですが、その原因にはストレスが多くかかわっています。ストレスによって気の流れが悪くなり、乳汁の流れも悪くなって、詰まって炎症を起こすと考えられます。
肩の中央にある肩井や小指の先にある少沢、肩甲骨の中央にある天宗が乳腺炎には効果的です。また乳腺炎を起こしている部分のちょうど裏側にあたる背中の部分に凝りが出ることも多く、ここも治療点として有効です。
これらのツボを日ごろから刺激することで、乳腺炎の予防をすることができます。
しかし、もし乳腺炎がひどくなった場合は専門家にご相談ください。本学園附属はりきゅう治療室でも多くの乳腺炎の患者様を治療しています。

太衝
内関
至陰
 
肩井
三陰交
合谷
 
散鍼