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三十槌の氷柱(埼玉県秩父市大滝三十槌)

凍てつく

立春が過ぎたというのに秩父の山里は凍てつく風が吹き舞っていた。

秩父大滝地区を流れる小さな川を挟んだ対岸に切り立った岩肌がある。その岩肌からしみ出す清水と、凍てつく風と相まって作り出すこの時期だけの壮大な風景に出会った。清水の滴りが徐々に寒さによってその動きを止め、蒼白い氷柱と化している姿は、黒い岩肌を覆う羽衣のように見える。また見るものによって、それは時間の止まった滝のようにも見え、一幅の名画を前に立つ思いに駆られる。