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瀬見の小川(京都市左京区下鴨泉川町、糺(ただす)の森)

うたかた

下鴨神社の聖域の中を一本の小川が流れている。名を「瀬見の小川」という。ここ下鴨神社の神官の子として生まれた、鴨長明はこの清らかな小川を「石川や 瀬見の小川の清ければ 月も流れを 尋ねてぞすむ」と詠んで「新古今和歌集」に残している。「方丈記」の作者でもある鴨長明は、その冒頭に「ゆくか河の流れは絶えずして、しかももとの水にはあらず。よどみに浮かぶ、うたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし・・・」と書き出し、800年前さまざまな天変地異が襲いかかり人が被る無常な世を克明に記録した。いま東北大震災復興の中、私たちの記憶をうたかたにしてはならない。