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認定看護師からの報告 – 2

創傷・オストミー・失禁(WOC)看護認定看護師

坂田さち子さん (船員保険病院看護部長室付・看護師歴17年目

認定看護師の資格を取ろうと思ったのは、外科の外来にいてストーマー(人工肛門・人工膀胱)による皮膚症状で困っている患者さんによく出会ったからです。「何かしてあげたい」と思っても自分に十分な知識がなかったので、この分野の専門知識をぜひ身につけたいと考えました。
認定看護師の教育課程では、朝八時半から午後6時までびっしりのカリキュラムが組まれていて、最後は実習があり、かなりハードな1年だったと思います。な かでも貴重だったのは実習で、やはり看護は実際に経験しなければ分からないものだと実感しました。実際の患者さんを看てそこにある問題点を見つけて、適正 なアセスメント(評価)をするという、すべてを統合して学ぶことができるような実習は看護学校では経験しなかったので、とても力になったと思います。
受講で得たものはたくさんあります。その第一は患者さんへの視点が変わったことです。傷ひとつとっても、細胞レベルでどうして今こういう現象が起きている のか、どうしてこういうふうに変化していくのかといったことを、根本から考えていきます。するとそれに対する治療も、いろいろな方法で見ていかなければな りません。
たとえば傷口にある種の消毒液を用いると、かえって傷の治りが遅くなってしまうことがあります。以前そのことをある医師から聞いていたのですが、その理由は説明してもらえませんでした。ところが、認定看護師のコースで消毒によって細胞の増殖が妨げられることによりかえって傷の治りが遅くなるというメカニズムも教わることができたのです。
傷のケアは薬だけではなくて、食べるものや生活習慣、心理面の関与などの面からもアプローチしていく必要があります。また、その傷に関わる看護師全体がフォローアップしていくことが大切であり、一人でも「いいや」と言って手を抜くと治らなくなってしまうこともあるのです。
患者さんの満足度の高いケアの大切さも知りました。たとえば高齢者は皮膚が乾燥しがちで、熱いお風呂から上がったままだと本来の皮膚のバリアーが壊されやすくなります。そこから化膿したり褥瘡(じょくそう)になったりしがちなため、熱いお湯が好きなお年寄りに「お風呂はぬるめに」といった指導をしがちですが、それではそのお年寄りは少しも幸せではありません。そこで看護師としては、熱いお湯から上がったら、そのあとにダメージを受けている皮膚に対して湿潤させるような働きを持つクリームを塗ってあげるといった工夫をするのです。患者さんが自分でいちばんいいと思っていることに対してフォローしてあげるよう考えるようになりました。
ストーマーは外科医が作ってしまえばあとのケアはほとんど看護師におまかせというのが実情です。ところが、そのケアの知識が不十分だったため適切な処置ができず、以前は痛みや漏れを生じさせていたずらに患者さんを苦しめるケースがありました。現在は、適切な装具の用い方や痛みを取るためのケアの方法を身につけています。
こうして認定看護師として身につけた様々な知恵や知識は、後輩たちに2ヶ月に1回のカンファレンスで伝授しています。苦しむ患者さんを見ながら何をしてあげていいかわからないことは看護師にとってつらいことですから、そうした知識を教えることで後輩たちから歓迎されています。
医者の指示通りに助手として動くことも看護師の仕事の一環として必要ですが、看護には看護師にしかできないこともたくさんあります。24時間患者さんと一緒にいる看護師は日常生活の中で注意深く気を配り指導することで、防げるものや治せるものが少なくないのです。認定看護師として、そうした看護師の役割と使命を伝えていきたいと思います。