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ナースの知恵袋 – 2

排泄の援助はさりげなく

菅原品子(東京衛生学園看護学科)

看護学科の排泄介助実習最近の入院期間の短縮により、様々な障害を持ちながら在宅で療養している人が多くなっています。
そのなかで排泄行為の援助を受けることは、いくら家族であれ羞恥心を感じるものであり、気兼ねや遠慮など精神的な苦痛も伴います。そのため援助されることでの不快感を最小限にできるよう、さりげない態度で援助したいものです。
排泄行為や排泄行動も障害によっては援助の方法が異なります。それには、以下の方法で援助することをお勧めします。

 

1.トイレまで歩行できる場合

廊下やトイレ内に手すりなどを設置し、転倒などの予防に努めます。
洋式便器の方が座ったり立ち上がったりする動作が容易で足腰に負担がかかりません。
介護用品や福祉サービスなどを利用して、排泄が無理なく楽に行えるよう環境を整えることも大切です。

2.トイレまで歩行できない場合

ポータブルトイレの使い方遠慮したり介助が容易であるにもかかわらず、おむつの中に排泄している場合があります。その場合は患者さんの身体機能に見合った排泄の方法を選ぶことが大切です。とくに片麻痺のある患者さんの場合は、ポータブルトイレなどを使用すると便利だと思います。
ここで片麻痺のある患者さんのポータブルトイレの使い方を紹介します。

○麻痺側を少し外に出して、ベッドに斜めに腰をかけます。
○パンツを下ろし、ポータブルトイレの蓋を開けます。
○次に、良い方の側の手でベッドの柵につかまって立ち上がります。
○そして身体を回して腰を下ろします。

3.尿失禁のある場合

時間ごとにトイレに誘導したり、便器や尿器をあてるなどして、安易におむつをあてるのはさけたいものです。おむつをあてることによって、排泄したという感覚が乏しくなったり、尿意を訴えなくなったりする危険性があるからです。
ちょっとした失禁は、トイレまでの距離や衣服の着脱のしやすさ、時間での誘導など工夫によって解決することもあるので排泄の間隔や失禁の種類をよく観察して対応を考えることも必要です。
なお、おむつを選ぶときは、きつすぎず動きを妨げないように少し大きめのサイズを選ぶようにしましょう。排泄したことを訴えられない場合は、決まった時間におむつ交換を行い不潔にならないようにしましょう。

4.便秘の場合

臥床しがちな患者さんは便秘になりやすいので、食物繊維や水分をよく摂ることをお勧めします。また、身体をよく動かすような生活スタイルや腹部のマッサージも効果的です。便秘になった場合は、効果的に緩下剤や浣腸、摘便などを行い、排便のコントロールをつけることが食欲や体力の維持につながっていきます。

このように患者さんの自立度によって援助の内容も変化します。よりよい援助を行うには患者さんの排泄状況や排泄行為がどうなっているのか見極め、現在の自立を後退させないようなかかわりが重要です。