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四万川(群馬県中之条町)

甌穴

四万温泉郷の最奥地にある日向見地区の温泉宿に泊まった。朝、川の流れる音で目を覚まし、窓を開け放つと白秋の冷気が部屋に入り込んできた。
ぶるっと身震いしたもののすぐに清々しい気分になった。夜には気がつかなかったが、散歩に出ると宿は日向見川の崖っぷちに建てられていた。川に降りてみようと、細い橋を渡り対岸の河原に出た。手のひらで水をすくい口に含ませるとさらに清々しい気分になった。

この川はしばらく流れ行くと、四万川の本流にたどり着く。四万川に架かる秋鹿橋の近くに甌穴があった。甌穴は上流から流れてきた石が河床にとどまり回転し、悠久の時をついやして壺状の穴を削り上げたものだ。覗き込むと壺の中には、翡翠のように透明な水を満々と湛えていた。