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風邪に負けない食養生

冬は閉蔵の季節といって、エネルギーを身体の奥深く潜め、厳寒の気候に適応させなければなりません。中国ではこの頃はすすんで食品や漢方薬を使い、身体を温め補うようにするとよいといわれています。これは、寒さは人体の陽気を消耗させるので、これを防ぐために、身体を温め、人体のエネルギー源である「腎」を補うことが必要であることをあらわしています。食べ物で身体を温めることはもちろん、衣服でも保温に留意して、寒さによって起こる病気や体力の消耗といったものを防ぎましょう。

寒さに適した食品としては、羊肉、鶏肉、エビ、ニラ、ニンニク、ネギ、カボチャ、サツマイモ、栗、クルミ、ショウガなどがあります。これらの身体を温める食品を多くとるように心がけ、冷たいものや、身体を冷やす作用の強い食品ばかりをたくさん食べることのないようにする必要があります。

このほか、寒い時には苦味の食品を多くとり、塩辛いものを控えるとよいとされています。これは腎と心の五行におけるバランスが関係しています。正常時には、腎の水は心の火を冷やし、また心の火は腎の水を温めることによってバランスをとっています。ところが寒冷な時期は腎の水の冷やす力が強くなりがちで、心の火は弱められてしまうのです。塩辛い食物は腎の水をさらに強める作用をもつのでこれを少なくし、心の火を助ける苦味の食品を多くとることが必要となるのです。

エビとニラのニンニク炒め

 


効能:精気と陽気を補い、身体を温め、健胃作用をもつ。
応用:腎の陽虚によって起こる、冷え性、腰痛、頻尿、疲労感、インポテンツなど。

材料(4人分)

エビ(大正エビ、ブラックタイガーなど)20匹、ニラ1束、ニンニク2片、白ネギ4分の1本、酒大さじ1杯、しょうゆ大さじ2杯、ゴマ油小さじ2分の1杯、塩少々、コショウ少々、スープ大さじ2杯

作り方

1.エビは尾を残して殻を剥き、背わたを取っておく。
2.ニラは洗って三センチくらいの長さに切る。
3.ニンニク・白ネギはみじん切りにする。
4.中華鍋を火にかけ、サラダ油大さじ二杯を入れてさらに熱し、ニンニクを入れて炒め、香りを出してエビを入れ、強火でさっと炒める。
5.ニラを入れて混ぜ、残りの調味料を入れて味をからめ、火を止める。
6.好みでトウガラシを入れてもよい。

エビ


五味・性味:甘、鹹/温
帰経:肝、腎に入る。
効能:腎の精気と陽気を補う。気を補い、食欲を増進させる。風邪を除き、気血の流れをよくして痛みやしびれを治す。

応用

☆腎陽不足による冷え性、腰痛、頻尿、下肢の無力感、疲れやすいなどの症状がある時や、胃腸の虚弱によって食欲のない時には、生きたエビを酒に浸した後、炒めて食べる。
脳卒中の後遺症による半身不随で、筋肉や骨に痛みを伴う時には、エビを酒とともに炒めたり、煮たりして食べる。

ニラ

五味・性味:辛/温
帰経:肝、腎、胃に入る
効能
体内の陽気を温め、吐き気を止める。しびれや痛みを止める。脂肪を落とす。

応用

●腎の陽虚による腰の冷えと痛みに、ニラ400gとクルミ(殻を取り除いたもの)100gをゴマ油で炒め、これを一日分として食べる。
●幽門狭窄による激しい嘔吐に、ニラのしぼり汁60g、牛乳200mlに生姜のしぼり汁15gを加えて温めて飲む。
●吐血・喀血・鼻出血・血尿などの出血症に、ニラのしぼり汁に生地黄を浸し、天日で乾燥させ、これを臼などでひいて、丸薬に丸め、朝夕二丸ずつ服用する。
●狭心症などによる急な胸痛に、生のニラのしぼり汁を飲む。

ニンニク


五味・性味:辛/温
帰経:脾、胃、肺に入る
効能:解毒と抗菌作用。咳を止め、痰を切る。

応用

●子供の夜泣きで腹痛と顔色蒼白を伴う時には、加熱後乾燥させたニンニク1片、乳香一・5gを潰して仁丹大の丸薬にして7丸ずつ飲ませる。
●腹部の膨満には、イカの腹の中にニンニクを詰め、奉書焼きにして食べる。この時塩、ネギ、みそ、トウガラシなどを食べないようにする。
●のどに痰が多くたまる時には、潰したニンニクを食べると痰が大量に出て治る。