ラベンダー
私たちがともすれば忘れがちな自然のリズム。
しかし自然のリズムを全く無視して生きていくことはできません。
アロマテラピーは心と体の生体リズムを調節し、
深いリラックスへと私たちを導いてくれます。
アロマテラピー(芳香療法)とはハーブや果物から抽出した100%天然のエッセンシャルオイル(植物精油)を生活の中で活用し美容や健康に役立てるライフスタイルを言います。芳しい香りの持つファッション性と実用性が合いまって若い女性を中心にここ3年ほど前から関心を集めています。欧米では日常的な健康管理としてだけではなく、代替療法や補完的医学として、またターミナルケアなどの領域でも着実に広がりを見せています。今回はアロマテラピーで最もよく利 用される種類であるラベンダーを取り上げてみたいと思います。
わが国でもラベンダーの栽培は試みられています。まるで青紫の絨毯を敷き詰めたように咲き乱れる、夏の北海道・富良野のラベンダー畑をご覧になられた方も多いと思います。また、映画「時を駆ける少女」ではラベンダーの香りが重要な役割を担っていました。このラベンダーの香りには鎮静作用があるため、ストレスの多い人やそれが原因で不眠症になる人が、この香りを寝室に漂わせるなどの方法で活用しています。さらにこの香りには、私たちの生体リズムを調節してくれる働きがあることも確かめられています。
英国の例ですが、ある病院で睡眠薬を必要とする患者さんを2群に分け、一方には睡眠薬を投与し、もう一方にはラベンダーの香りを漂わせる試みを行いました。結果としては、ラベンダーの香りには睡眠薬と同じほどの鎮静効果があることがわかりました。さらに患者さんの睡眠時間を昼と夜に分けて詳しく見ると、睡眠薬を投与した場合、昼、夜ともに睡眠が増えるのに対し、ラベンダーの香りを漂わせる方は、昼は睡眠時間が減り、夜に増加することがわかりました。
即ち天然の植物の香りは私たちが本来持っている昼と夜のリズム(交感神経と副交感神経のリズム)を取り戻してくれたことがわかります。この作用機序はまだ明らかにされていませんが、植物はが光合成によって生命エネルギーを得ているため、動物よりも自然の昼夜のリズムに密接に関係していることがその背景にあると思います。
私たちは自然のリズムに逆らうことによって文明社会を築き上げてきとたも言えます。しかしそれが極限にまで進むと、生物としての人間に黄信号、赤信号が点灯し、病気というメッセージとなって現れるのかもしれません。ここ数年の世界的なハーブへの関心の増大は、自然のリズムを取り戻そうという無意識の行動とも言えると思います。アロマテラピーとは単にリラクセーションの技法ではなく、動物的世界観(進歩・競争)から植物的世界観(永続・調和)へのシフトを見据えた私たち自身への問いかけでもあるのです。
1.蒸気吸入
エッセンシャルオイルの香りを嗅いで脳に信号を送る方法です。
▼使用法:ティーカップかボウルに熱湯を入れ、そこにエッセンシャルオイルを3、4滴たらします。蒸気と一緒に有効成分がお部屋いっぱいに広がります。
★例:寝室にラベンダーの香りを漂わせると入眠がスムーズになり、質の高い睡眠が得られます。
2.入浴(アロマバス)
エッセンシャルオイルを入浴時に用いる方法で、香りを吸い込むとともに皮膚からも吸収されます。
▼使用法:入浴時にバスタブに3、4滴たらして手でよくかきまぜてから入浴します。
★例:ややぬるめのお湯でラベンダーバスを行うと深いリラックスが得られます。
3.オイルマッサージ
エッセンシャルオイルを植物油に希釈して、それをマッサージすることにより皮膚から体内に浸透させます。
▼使用法:ホホバ油10mlにエッセンシャルオイル2、4滴の割合で希釈してマッサージオイルを作り、お風呂あがりにマッサージしてすり込みます。
★例:首・背中・筋肉の緊張やスポーツの後にラベンダーのオイルマッサージを行うと筋肉がゆるみ回復が速まります。