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アジアのバイタリティーで肝臓を守り、心身の活力を取り戻す。

ウコン(ターメリック)

ウコンで下半身を安定化させ、
頭寒足熱状態に戻してストレスを解消する。

林真一郎(薬剤師 グリーンフラスコ(株)代表)

太古の昔から私たち人類は、病になると身のまわりの草根木皮を用いて自らを癒してきました。植物療法とは世界最古の自然療法と言えるのです。ギリシア、ローマに端を発するハーブ療法だけではなく、世界各地に植物の治癒力を活用した伝統的な植物療法が存在し、また現代にも引き継がれているのです。
今回紹介するウコン(ターメリック)はジャムウと呼ばれる東南アジアの伝統的な植物療法で、同じショウガ科のショウガ(ジンジャー)と並んで最も多く用いられるハーブです。
ジャムウは始め、王室の秘伝の処方として語り継がれましたが、その後一般の人にも流布され、台所薬局的な普及が進んで現在では現地の人々の日常生活に完全に定着しています。


観光地として名高いインドネシアのバリ島の街角で女性たちが黄色い液体をガラスビンに入れて通りゆく人々に売っている光景が見られます。これがいわゆる ジャムウ・ドリンクで、黄色はウコンの有効成分であるクルクミンの色素によるものです。ウコンはわが国でも沖縄などで栽培されていますが、効能、効果の中心はクルクミンによる強肝作用といえます。クルクミンは内服では肝臓や胆のうにトニック(強壮)効果をもたらし、外用では水で練って皮膚病に直接塗布して 用いるなどの方法があります。

またウコンには春、ウコンや秋ウコンといったいくつかの種類があります。春ウコンは秋ウコンに比べて香りが強く、一方、秋ウコンは春ウコンよりも濃い黄色を呈します。これは春ウコンは精油成分の量が多く、秋ウコンは色素成分であるクルクミンの量が多いためです。精油成分には消炎作用を有するアズレンやシネオールが含まれるため、一般には春ウコンは胃腸障害に、また秋ウコンは肝臓や胆のうの強化を目的に処方されます。
さて地中海沿岸のシソ科のハーブ、例えばラベンダーやペパーミントなどは揮発成分が多く、さわやかな香りを発するためアロマテラピー(芳香療法)に繁用されます。一方、東洋のハーブは漢方原料を考えればわかるように、使用部位が花や葉よりも根(根茎)や実などが多く、滋養強壮や免疫賦活効果に優れていることがわかります。


現代人はストレスが強いため、比喩的に言えば頭に血がのぼって足元が冷えた状態にあります。のぼせと冷え性を訴える女性が多いのもこのためです。この場合にアロマテラピーで頭を冷やすと共に、ウコンに代表される東洋のハーブを内服することで下半身を安定化し、頭寒足熱の状態に戻すことで心身のおちつきを取 り戻すことができます。
肝臓は生命を維持する上できわめて重要な臓器であるにもかかわらず、その存在も忘れがちで、「沈黙の臓器」と呼ばれるように黙々と働きます。また肝臓は心の状態にも影響を与えます。ウコンに代表される大地に根ざしたアジアのバイタリティーで肝臓を守り、心身の活力を取り戻したいと思います。

1.ハーブティー

●インフルエンザなどの感染症の予防に
免疫力を高める働きのあるエキナセア3gを熱湯200mlで3分間抽出し、そこにウコンの乾燥パウダーを小指の頭ほどの量を加えてかき混ぜたものを、1日3回毎食後に服用します。粘膜からの細菌やウイルスの進入を阻止することができるため、風邪が流行したら予防的に服用するようにします。またお酒やタバコによって粘膜や臓器がダメージを受けるのを防ぐことができます。

●冷え性や生理痛、生理前症候群の緩和に
身体をあたため婦人科系の炎症を鎮める働きのあるジャーマンカモミール3gを熱湯200mlで3分間抽出し、そこにウコンの乾燥パウダーを小指の頭ほどの量を加えてかき混ぜたものを1日3回毎食後に服用します。また料理のスープにウコンの乾燥パウダーを適量溶かしたりマヨネーズに加えるなどの工夫で食事として摂取するのも良い方法です。体力の増強を目的に更年期の虚弱に処方することもあります。

2.塗布剤

●皮膚病の治癒の促進に
ウコンの乾燥パウダーを適量の水で練って、患部に直接塗布します。ウコンは強力な抗菌作用を有しており、また創傷の治癒を促します。