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沈黙の臓器肝臓を助ける

アーティチョーク

苦味成分の薬理作用と反射作用の
相乗効果が肝臓を強化し、環境の悪化から身体を守る。

林真一郎(薬剤師 グリーンフラスコ(株)代表)


アーティチョークのつぼみの花柄の部分にある多肉質の花床と苞葉はイタリア料理やフランス料理で食用として供されますが、メディカルハーブとしても消化器系の働きを高める作用が知られています。
中でも肝臓の働きを強化する点においては数多くの研究がその効果を実証しています。欧米でアルコール度数の高いお酒を飲むときにアーティチョークをゆでたものをつまみにするのは肝臓をアルコールから守るための生活の知恵といえるでしょう。

メディカルハーブの中には甘さや苦み、辛さなどの味覚が効能、効果のヒントになっているものが少なくありません。苦みを持つハーブについてはエキナセアやダンディライオン(西洋タンポポ)の根の例をあげるまでもなく、肝臓の働きを高め、強壮効果を発揮するのが特徴です。わが国においてもニガキやゲンチアナのような苦味健胃薬と呼ばれる一連のグループが知られていますが、どうやらこの点においては西洋、東洋を問わず世界共通の特徴のようです。こうした働きは苦味の本体である苦味成分の薬理作用と、苦味による反射作用の相乗効果と考えられます。
したがって苦いからと言ってオブラートに包んで服用したり、砂糖などで甘みをつけてしまっては本来の効果、効能は望めません。

アーティチョークの有効成分はシナリンと呼ばれる苦味質とスコリモサイドと呼ばれるフラボノイド配糖体で、これらの成分が肝臓の働きを強化すると共 に胆汁の分泌を促します。そのためアルコール摂取による肝臓のダメージを回復したり脂肪の代謝を促してコレステロールなどの沈着を防ぎます。
さて、健康診断などで血液中のコレステロール値や中性脂肪などの数値が高い人はもちろんのこと、一般の人々にもこのハーブをお勧めしたい。それは、現代社 会が肝臓にとって過酷な時代であるためです。その理由はまず第一に食事の質の低下です。昔のようにビタミンやミネラルを十分に含み生命力あふれる食材は姿 を消し、その反対に肝臓に負担をかける合成着色料や合成香料などの食品添加物や農薬、保存剤などにまみれた加工食品が急増しています。
またストレス社会を反映してアルコールやタバコ、それにカフェイン飲料などの嗜好品の摂取が多いこと。また大気の汚れや水の汚れはそのまま肝臓にダメージを与えます。さらに日本人の薬好きとも相まって安易な医薬品の服用はそれを代謝して無毒化する肝臓には大きな負担となります。
現代人の料理や食材を調査すると甘いものが増加し、苦いものは姿を消しつつあるそうです。糖尿病やそれに伴う合併症を予防し、ストレスにうち克つ肝臓に強化するためにも意識的に苦いものを摂りたいものです。

1.ハーブティー

●ストレスによる消耗や病中・病後の活力増強に
アーティチョークの乾燥した葉小さじ一杯(約2g)と粉砕したローズヒップ(野バラの実)小さじ1杯(約2g)をブレンドし、熱湯200mlで5分間抽出し、1日3回毎食後に服用します。食欲がない場合は食前が良い。ローズヒップは天然のビタミンCやビタミンP(バイオフラボノイド)を豊富に含むため、肝臓の機能回復に相乗効果を発揮する。また、ローズヒップをブレンドすることで味に丸みが出るため服用しやすくなることも利点のひとつ。

●コレステロール血症や脂肪肝の予防に
アーティチョークの乾燥した葉小さじ一杯(約2g)とペパーミント軽くひとつまみ(約1g)をブレンドし、熱湯200mlで三分間抽出し、1日3回毎食後に服用します。ペパーミントに含まれるフラボノイド類も胆汁の分泌を促すので相乗効果を発揮する。油っこい料理が原因の胃のもたれや便秘にも奏効する。ペパーミントのさわやかなメントールの香りで服用しやすくなるのも利点のひとつ。

2.ハーブジュース

●食欲不振や二日酔いの回復に
アーティチョークの葉部をジューサーにかけて、できあがったフレッシュハーブジュースを1回10ml服用する。