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ナースの知恵袋 – 12

うつ病ってどんな病気?

小林千鶴 (東京衛生学園専門学校看護学科教員)


気分が落ち込んで物事が手につかなくなるようなことは、誰もがときどき経験します。たいてい数日で回復し、「また頑張ろう」という気持ちが湧いてくるものです。
それに比べ、うつ病の人の落ち込みは、苦しみや悲しみがはるかに深刻なもので、つらい状態が長く続いて日常生活に支障をきたしてしまいます。
発症の原因は明確ではなく、いくつかの要因が複合的に関わっているといわれています。大切な人やものを失ったり、家族や仕事の問題、職場での人間関係の悩みなどがきっかけで抑うつ的になり、発症するケースが多いようです。
ストレス社会といわれる現代、うつ病は誰もがかかる可能性のある病気です。また不治の病ではなく、適切な治療を受ければ必ず治癒します。

①うつ病の見分け方

次のような状態のときは、単なる気分の落ち込みではなく、うつ病の可能性があります。
・気分の落ち込みやそれによる体調不良が二週間以上続いている。
・仕事や日常生活に支障をきたしている。
・身体がだるいなどの不調はあるが、検査を受けても原因がわからない。

②うつ病になったら
①のような症状のある場合は、一人で悩まず、専門医に相談しましょう。
うつ病は「心の風邪」といわれています。風邪の治療と同様に、早めの処置と休養が有効です。ただし、風邪と違って回復には時間を要します。症状の「一進一退」も見られるため、あせらず、気長に治療を続けることが大事です。処方された薬は医師の指示通りに服用するよう心がけましょう。

③周囲の理解と協力
うつ病の治療には周囲の理解と協力がとても重要です。家族や友人、職場の人たちも、うつ病についての正しい知識を身につけ、必要に応じて家事を手伝ったり、仕事を代わってあげたりしながら、温かい目で見守りましょう。